そんなことを頭の隅で考えながらみんなのもとへ戻る。
「ごめん、うるさかった?」
「ううん」
「ならよかった……」
こっちの声はあまり聞こえてなかったみたいだ。
「誰と電話してたの〜?」
「え」
隣にいた莉都が無邪気に聞いてきた。
「ほら、さっき『はっ!?』って言ってたじゃん?」
「聞こえてたの?」
恥ずかしいな。
「男か?」
「……はい?」
莉都と話をしていたのに何故か太陽が話に入ってきた。
「男か?」
「? そうだけど?」
性別が何か関係あるのか?
「誰だ?」
「誰だって、言われても……」
言えるわけないじゃん。二人の迷惑にはなれないし。
どう誤魔化そう。
考えて時間が過ぎていくにつれて太陽が不機嫌になっていくような……
ど、どうしよう……
ちら、と莉都を見ると不自然に目をそらされた。
朱雀もしかり。
涼を見たときは……笑い返された。
……私にどうしろと?
「えーと……」
『一年の泉さん。至急理事長室に来て下さい。繰り返します。一年の……』
ナイス音兄!
「私、行ってくるね」
ひとまずこの場から離れるため、私は誰かに何かを言われる前にさっさと理事長室に向かった。


