だから今すぐ上目使いで見るのはやめてほしい。
私が責められているように錯覚してしまう。私悪くないのに。
「ほんならよかったわ」
ニコ、と変わらない笑みで私を見上げる。
「あ、でも今度私のこと猫ちゃんって言ったら怒るから」
「き、気を付けるわ」
焦る朱雀の姿が面白くてついくすくすと笑ってしまう。
「明日も学校やで。はよ入りいや」
「うん」
「あ、の前に……」
「?」
がさごそとポケットの中を探し始める。
……何?
「あったわ。ほら、メアドとか教えてくれへん?」
なんかあったら困るやろ、とケータイをだしてきた。
「あ、うん。わかった」
私のメアドだけ赤外線で送って、朱雀にはあとで送ってもらうことにした。
「ほんなら、おやすみ。満月」
「おやすみなさい」
朱雀が帰って行くのを見送ってから私もマンションの中に入る。
すぐにウィッグとカラコンを取り、そのままお風呂に入った。