そういえば、そろそろ授業終わるころだよね。
最後の授業くらいは出ておこうかな。
「じゃあ、私行くね」
くっついていた莉都を剥がし席を立つ。
「えぇ〜!みぃちゃんどこに行くの?」
「どこに、って……教室だけど」
当たり前でしょ?という視線を送る。
そのままドアノブに手をかけようとしたらその手を掴まれる。
「…………」
誰?と思って見ると太陽だった。
さっきまでこの人優雅に座ってなかった?
瞬間移動かよ、と心の中で突っ込む。
「行くぞ」
「……はい?」
いまいち状況が分からない私をよそに、他のみんなは太陽の行動の意味を理解したらしい。
太陽は涼に車、とだけ言って私の手を掴んだまま屋上を出た。
「ちょっ、私の教室こっちじゃないけど」
教室まで連れていってくれるのかと思いおとなしくしていたけど、私の教室は思いっきりスルーされた。
「どこ行くの?」
私の質問には答えず、太陽はどんどん階段を下りていく。
「靴履き替えたら校門までこい」
「…………」
玄関まで来てやっと太陽は口を開いた。
すぐにどこか行ったけど。
多分靴履き替えに行ったんだろうな、と思いながら私もローファーに替える。
ここで逃げても後々面倒になりそうだし、ここはおとなしく太陽の言葉に従っておこう。