「…………」


「…………」


「…………」


「…………」


「………あのー…これは、何がどうなっているんでしょう?」



首を傾げて聞くが。



「すぐ分かる」



……うん。無視されないだけマシだと思おう。


ため息をついてから私は外の景色を見る。



今、私は何故か高級そうな車に乗っている。


しかも太陽と。他にいるのは運転手の男だけ。



一体、何故………








遡ること数十分前。




屋上で姫になる宣言をしたあと、終始ご機嫌に見える莉都と朱雀。


一方で女嫌いである蒼介の機嫌は最悪だった。


あそこまで拒否されるとは……私は蒼介の女嫌いを舐めていたらしい。


最終的には、涼がなんとか宥めて私を姫だと認めたらしいけど……果たしてあれは宥めていると言っていいものなのか。


私から見たら脅迫のように見えたのだけど。



「り、涼……蒼介に何してきたの……?」



思わず尋ねるが、



「ちょっと説得を」



ニッコリと爽やかな笑顔を浮かべる涼の後ろで、蒼介は心なしか顔が青く見えた。



「……そ、そう」



詳しいことは聞かない方がいいよね。


でも一言。



なんかごめん、蒼介。


さすがに蒼介が気の毒になって心の中で謝っておいた。