あ。でも太陽の気分が変わってたら無理だよね、なんて考えていると……



「わぁーいっっ!!」



耳元で莉都の声が聞こえた。


というか声大きくて耳が痛い。



「みぃちゃんがボクたちのお姫さまだぁ〜!」



余程嬉しいのかぎゅうっと抱きしめてくる莉都。


さっきまで食べていたお菓子の匂いかな……莉都からは甘い香りがした。



「……らしいけど、どうする太陽?」


「…………」



涼の問いかけにしばらく無言でいる太陽。


多分、私を姫にするかしないか考えてるんだろうな。


一度断っちゃったのは事実だし。


少し緊張しながら、みんなは太陽の返事を待つ。



「……何故、姫になってもいいと思ったんだ?」


「え、」


「俺が誘ったときは断っただろ」



どうして朱雀の誘いは受けたんだ、と続きを言わなくても予想できた。



「……事情と気分が変わったから、かな?」



嘘は言ってない、よね。


じっと見られて何となく落ち着かない。


何をどう反応すればいいかわからないので、私も太陽を見つめ返す。


ふっと太陽の顔が笑みを作った。



「お前を歓迎する……満月」












こうして私は今日、双翼の姫になった。



平穏な日々を送ることは無理だろうな、と心の中で考える。


でも私は不思議とこれから過ごす毎日を楽しみに思った。