「なんと!満月がワシらの"姫"になってもえぇって!!」


「「「…………」」」



訂正。


私だけじゃなく、朱雀以外のみんな一瞬、石になりました。



「え…と……本当なの、満月ちゃん?」



いち早く正気に戻ったのは涼だった。さすが大人。



「あー……」



どう返事をするべきか……


ちらりと見た朱雀の顔はまるで「してやったり!!」と言いたげなどや顔をしていた。



………成る程。


つまりはこれが私と朱雀の取引なわけね。


確かに私が姫の立場にいれば必然的に朱雀といる時間も長くなって監視も可能になる、んだけど。


……うん。殺意が芽生えたのは間違えようもない事実だ。


でもまぁ……取引に応じたのは私しね。これは仕方がない。



「うん。まぁ……」



本当だよ、と言うと涼は驚いた顔をした。


涼だけじゃなく、それは莉都も蒼介も太陽も同じだけど。


まぁ……あれだけ嫌がっておきながらこんなにあっさり"姫になる"宣言したんだもん。当たり前か。



「ほ、本当に、みぃちゃんがボクたちの姫になってくれるの?」


「うん」


「本当に?」


「ふふ……何回聞けば信じるの?」