「す、すうくん……どうしたの?」
莉都が後ろからおそるおそる聞いてきた。
うん、そうなるよね。いきなり叫んだら。
涼ですら意味がわからない、というような顔をしていた。
「何が?」
「だって…すうくんがいきなり叫んだから……」
「あぁ!気にせん気にせん。あとでみんなに話すな〜」
私にとってはそのご機嫌具合がものすごく怖いんだけど。
「ほんなら、みんなで屋上行こか〜」
みんな訳のわからないままではあったが、とりあえず朱雀に流されるままに屋上へ向かっている。
そういえば、莉都たちは降りてきたところなのによかったのかな。
そう聞くと涼が、朱雀を探しに来ただけだから、と言ってふわりと笑った。
まぁ…それならよかった。
「朱雀、何考えてるの?」
前を歩いている莉都と涼に聞こえないように朱雀に話しかける。
「気まっとるやないか〜」
「?」
「ワシが楽しくなれそうなこと」
「……あっそ」
聞いた私がばかみたいだ。
「なぁ、猫ちゃん」
「だから、猫ちゃんって呼ぶのやめてよ。それで、何?」
「名前教えてくれへん?」
「…………」
ピタリと私は歩みを止める。
「……言ってなかったっけ?」
確かに思い返してみると教えてないかも。
「……ごめん」
朱雀が私を"猫ちゃん"としか呼べないわけだ。
「別にえぇよ。で、猫ちゃんの名前はなんて言うん?」
「満月。泉 満月」
「へぇー、かわいい名前やな。ミツキ、か。どう書くん?」


