莉都は私の手をとって教室とはおそらく逆方向に歩いて行く。


その際、莉都はご機嫌そうだ。



……うん。嬉しいのは分かったからパンの入った袋を振り回すのは止めてね。


そのパン飾りでナッツ付いてたからね、そんなに振り回すとナッツが取れるよ。


実際には言わないけど。



「ここだよ〜」



ガラ、と莉都が扉を開けるけどそこには誰もいなかった。



「あれ、どこ行ったんだろ?」



待っててって言ったのに〜、と言ってぷうっと頬を膨らませる。


これ、癖なのか。かわいいな。



「ちょっと探してくるから、みぃちゃんはここにいてね」



その言葉に頷きながら莉都を見送った。



それにしても、と教室を見回して思う。


ここ、もはや家なのでは?


さすがにベッドはないけど、ソファやらテーブルやら冷蔵庫って……


公共の場所だとは思えない。


って、あれ。前もこんなこと思わなかったっけ?


いつだったんだろう、と考えているとガラ、と扉の開く音。


莉都が帰って来たのかと思い振り返って見ると……



「……………」


「あれ、キミだれや?」



今現在、会いたくない人ランキングを作れば上位に入っているだろう見覚えのある人がこちらを見ていた。