多分、ばれてない……とは思う。


でも安全のために、できることならなるべく会いたくない。


でも最近は向こうも寄って来ないし……莉都とは話すけど。



大丈夫、だよね……


不安感は残るものの、無理矢理自分を納得させ家を出る。


学校への道を歩いているときもやはり、まだ不安だったが、お昼ごろまで普通に過ごせると自分が考え過ぎだったと思い直す。



「じゃ、授業終わりなー」



大ちゃんの終了のかけ声で教室が一気に騒がしくなる。


いつもなら莉都が話しかけてくるけど、今日は授業が終わるや否やすぐ教室を飛び出して行った。


何か呼び出しとかあったのかな、と思いつつそこまで興味はない。



昼休み、か……暇だし、かな兄たちのとこ行こうかな。


うん。そうしよ。


席を立ち、理事長室への廊下を歩く。


理事長室に用事のある生徒なんか滅多にいないからか、ここは人通りが少ない。



「かな兄いるかな」



軽い足取りのまま理事長室の扉に手をかける。



「あれ」



そのまま開けようとするけど、今日は鍵がかかっていた。


留守か……せっかく来たのに、なんか損した気分。



「今度、合鍵貰おう」



仕方がないので教室に戻る。


その途中で飲み物を買おうと思って購買に行く。



……そういえば購買来るのって初めてかもしれない。


へぇ、思ったよりもいろいろ種類あるんだ。


いちごみるくかバナナオレか……迷う。