そのまま帰ろうと思ったけど、何となくそのまま見ていた。


みんなは気づかないまま、蒼介を治そうと話かけたり揺さぶったりしていて、その光景に知らず知らずのうちに顔が緩む。



水を差すのも嫌だしな……


そっと音を立てないように窓を開ける。


窓枠に座るように体を半分外に出してから、何となく視線を感じて振り返ると、誰かがこちらを見ている気がした。



気のせい……?



そのとき隠れていた月が出てきて一瞬、倉庫の中を照らす。



……気のせいじゃなかった。


太陽が真っ直ぐ私を見ていて、月明かりが照らした一瞬で、一気に息が苦しくなるような気がした。


それは多分、私が…"白猫"が"満月"だとばれたんじゃないかと言う不安から。


見透かされているような視線から逃げるように、私は外に身を躍らせた。