「もう、しつこい男は嫌われるよ」
「はっ、逃げるやつに言われたくねぇよ」
「私、一応女の子だから」
だから逃げてもおかしくないの、と言うと。
「は?」
ぽかーん、と見上げられた。
「やっぱり気づいてなかったんだ……」
確かにここは暗いし私もマント被ってたけどさ、声とか口調とかで普通分からないかな。
それとも、私って私が思っているより男の子っぽいのか……
それに、
ちらっ、と見ると朱雀と目があい、ニヤリ、と返された。
言ってあげればいいものを……朱雀たちも意地が悪い。
「お、女……?」
ギギギ、と首を見物人たちの方に向ける。
莉都はこくこくと首をふり、涼はニコニコ、朱雀はケラケラ、太陽は無言で同意する。
「…………」
「…………」
「…………」
「……?もしもーし」
「…………」
「……おーい」
「…………」
「…………」
蒼介、無言。
そういえば初めて会ったときもこうなったっけ。
あのときは莉都が治したみたいだけど……
「えっ、と……これ、どうすればいいの?」
恐る恐る、という感じで聞いてみる。
「気にしなくていいよ〜。あとでボクがどうにかしておくから」
と、莉都がニコッと笑って言った。
「そう、ならお願いします」
どうせ私には何もできないしね。