日が落ちたからか、ひまわり達は昼間よりも元気がないように思えた。
きらきら輝いていた綺麗な花びらも、その光を失っている。
ぼー、っと一人でそのひまわりを見る。
すると後ろに感じる、よく知った気配。
ため息が零れる。
「何の用?」
「あれ、気付いてた?」
「気付かないわけないじゃない」
「だよねー」
そう言ってケラケラ笑っていたのは夜だった。
「で、何の用?」
「久しぶりに会ったのにぃ、つれないなぁー」
夜は唇を尖らせぶーぶーと言っている。
何、その分かりやすい拗ね方。
変わらない夜に安心する自分がいた。
「それにしても、夜がニンゲンの世界に来るなんて珍しいわね」
「仕事だよ、しーごーと!」
「?……へぇ」
配達屋にもニンゲン相手の仕事があったのね。
「あー、残念だけど俺の仕事はニンゲン相手じゃないから」
「そうなの?」
じゃあ……何の仕事なのよ?
そんな私の心を読んだかのように夜は笑って言った。
「俺の今日の仕事は、華に会うことだよ」
……………。
「はぁ?何よ、それ」
どうして私と会うことが仕事なのよ。
「そのまんまの意味だよ」
夜の声に……感情を映していない冷たい声に、思わず体がビクッと揺れる。
夜は藍色の瞳に何も浮かべずに私を見ていた。
「華……気付いてるだろ」
「な、何が……」
聞きたくない。
「華……気付いてないフリはやめろ」
聞きたくない。
「お前だって理解しているはずだ」
聞きたくない。
「お前は……俺達は……」
聞きたくない!!
「奪う側だ」
「っやめて!!!」
「…………」
「分かってる……」
「…………」
「ちゃんと、分かってるから……」