光の病室までずっと無言だったけれど、気まずいとか、そうじゃなくて……安心する沈黙。


それからは面会時間ギリギリまで光と話していた。



「そろそろ帰るわ」


「あー……もう時間か。華といると速く感じるなぁ……残念!」



本当に残念そうに言うので思わず笑ってしまう。



「また明日ね」


「えぇ。また明日」



さりげなく交わした約束を嬉しいと思ってしまう。


私は笑顔を浮かべたまま光の病室を後にした。


病院を出るまでに何人かの看護師に声をかけられる。


みんな光を通して知り合った人たち。



最初に会ったときはみんなと笑顔で話している光が不思議だったけれど、今では私が光のような立場にいるわ……


人生、何があるか分からないわね。



そんなことを思いながら私の足は自然とある場所に向かった。













こうやって、光と過ごせるのが、嬉しい。



そう思う反面、何かが胸の中に広がる。




私はその何かに目を向けないように、気づかないフリをした。