あなたは笑顔で…




「華……」


「………っ」



苦しいのに、何故か胸が高鳴る。


正反対の気持ちが胸の中でぐるぐるしている。



なんなの………?


分からない……


分からない……



何も言わない私に光は寂しそうに笑った。


前に病院で見た、寂しそうな微笑み。



「華……それは俺には言えないこと?」


「っ、ごめんなさい……」


「そっか……」



俯いた反動で髪がはらりと顔にかかる。



「分かった。じゃあ俺は何も聞かないよ」



光は私のこぼれた髪を耳にかけながら言った。


そのときかすかに光の指が耳に触れた。



熱い……光の触れた耳が熱い。



「何も聞かないけど……」



そう言って、光は私の頬を包むように手を添え、私と目を合わせた。


レンズの向こうにある綺麗なはちみつ色の瞳に私が映る。



「…ひ、かり………」



少し心がざわざわするけれど……反らすことは出来なくて……


私も光をじっと見つめると光は嬉しそうに笑った。



胸が……高鳴り過ぎて痛い。



「聞かないけど……華」



顔がいつもより近いせいか、光が話すたびに吐息がかかってくすぐったい。



「華が辛い時や寂しい時、俺を思い出して」


「…………」


「俺は、華の力になりたいから。俺じゃ力不足かもしれないけど……頼ってよ」



光がそう言ってくれることを、凄く嬉しいと感じてしまう自分がどこかにいた。



「分かった?」


「……うん」



だから、多分、結構素直に頷けたのだと思う。


光は私の返事に満足したように笑って、頭を撫でてくれた。



「よし!んじゃ帰ろ」



光は私の手をとって病院への道を歩く。



なんでだろう……



今まで普通に握られていた手を何故か意識してしまう。


何となく恥ずかしいような……


でも、嬉しいような……


ふわふわした感じ。


握られた手を軽く握り返してみる。


すると光の手がピクッと動いて、更にギュッと握る力を強めた。



……やっぱり恥ずかしい。


光は……どう思ってるの……?


半歩前を歩く光を見ると、何となく顔が赤くなっているような……


それは、夕日のせい…なの……?