「こんにちは、光」


「いらっしゃい、華」



また来ると約束をしたあの日から、定期的に顔を出すようにしている。


顔を出しても話をするだけなのだけど。




季節は本格的に夏になり、外に出て過ごすには辛くなってきた。


だからか、最近は光も抜け出す会話回数が減ったみたい。



「今日も暑いよねぇ。ニュースで今日は、今年一番の暑さになるかもって言ってた」


「そうなの……」



私はそこまで暑いとは思わないけれど……



「あ、今日はさ、華に見せたいものがあるんだ」


「私に?」


「うん!」



何だろう……


光と会って、更にいろいろなことを知った。




……光のことも…



世界がどんどん広がっていくみたいで……楽しかった。


光が『思い立ったらすぐ行動』な性格なのも、まぁ比較的早く分かったわ。


また突拍子もないことでもするのかしら……?



「じゃあ外行こう」


「外?出てもいいの?」


「病院の敷地内なら大丈夫」



光がそう言うなら大丈夫かしら。



「あ……」


「?何?」



それでも……



「……何でもないわ。行きましょう」



何故か……引き止めそうになった。


何故……?


視線を感じて横を見ると、光がにやにやしながら私を見ていた。



「………何よ」


「もしかして、俺の心配でもしてくれたの?」


「なっ……そんなわけ、ないじゃない。どうして私が光の心配しなきゃならないのよ!」


「えー、残念」



にやにやしている光といっしょに外に出る。


こいつ絶対信じてないわね。


でも……引き止めようとしたのは本当だけど、何故かなんて、私にも分からないわ。


強い日差しが皮膚に当たり、少しピリピリするように感じる。



「こっち」



光は嬉しそうに私の手をひく。


どこに行くのかしら…


引かれるがままに光についていく。


最近思うけれど、光ってスキンシップとか多いと思う……


今だって手を繋いでいるし。


それを嫌だと思わない私は……どうかしている。



「ついたよ」



下を向いて歩いていたので私は顔を上げる。



「…わぁ……」


「気に入った?どうしても華に見せたかったんだ」



光は悪戯が成功した子供みたいに笑った。