秋原さんが去っていったあとも、私と市ノ瀬くんは目が合っていた。


こちらを睨んでいるかのように見える。


周りはみんなざわざわしていた。


私と市ノ瀬くんが目が合っていることに、少し嫌な予感がしているようだ。


私と市ノ瀬くんの席は近い。


話したら声が聞こえるくらい。


「……あの~?」


私は思い切って声をかけてみた。


ずっと見ているから、逆に何か用があるのかと思い始めてしまった。


 ざわっ。


みんなの視線がこちらに来る。


「……。」


市ノ瀬くんは何も言わなかった。


そして彼は、教室を後にした。