「ありがとう。」


 はじめだけよ。


 そんなこと言うのは。


 どうせその言葉も、嘘になるわ。


そう思っていた時にふと気になったのは、


窓際の一番後ろの席にいた男の子だった。


こちらをじっと見ている。


しばらく目が合ってから、男の子はふいっと向こうを向いてしまった。


「あ、あの人、関わらない方がいいよ~。」


秋原さんが言った。


「え、どうして?」


「いつも自分から誰にも話そうとしないんだもの。かっこいいのにもったいないよね~。」


 ……確かにかっこいい。


 金髪で少しチャラめ。


 見た目背が高そうで、スタイルもいい。


 まさに女子からなら理想の王子様。


「あの人、近づきにくいオーラでしょ~。みんなそれに怖がって近づかないの。だからあの人、いつも一人。あ、名前は市ノ瀬 司(いちのせ つかさ)。変な噂もあるんだよね~。」


「変な噂?」


「うん。団体のヤンキーを一人で絡みに行って、全員半殺しにして去っていったんだって。」


 へ……ぇ。


「どうしてそんなこと……?」


「それがわかんないの。それが理由で一度停学になってね、みんなの噂の的だったんだよ。」


「そう……なんだ。」


 なにか理由があるんじゃ?