「今まではそうしてきたかもしれない。
それで上手くいったかもしれない。
……だけどな、そんなのは本当の友達じゃない」
「っ………………!」
「……沢木、無意識の内にアイツに遠慮してたところあるだろ?
知らないうちにどこか一線引いて……自分とアイツは違うって……。
……そう思ってたんじゃないか?」
………思ってた。
人気者で明るくて友達もいっぱいいて……そんな音ちゃんはまるで私とは別世界の人みたいで。
初めて会った時から……そう思ってた。
きっと……今でも、そう……。
「……違わないんだよ。
何一つ、変わらない。
……アイツはいつだってお前のこと対等に見てた。
だから、上手くいかないんだよ」
「え……?」
「沢木が自分を卑下してるから。
矢崎とは違うって……そう思ってる限り、お前らが噛み合うことはない。
もしこの問題が解決したとしても、きっとまたすぐ歯車が狂うぞ。
……ずっとそうやって、噛み合わないままだ」
自分を見下してた……?
音ちゃんの隣には並べないと思ってた……?
……うん、そう思ってた。
そう思うのが当たり前で……
そうならなきゃおかしいって……心のどこかでそう思ってた。
でも……それじゃいけない……?
このままじゃ、私と音ちゃんは………。
……嫌だ。
いつまでもこのままなんて……そんなの嫌。

