杉山君は少し驚いた様子で私に視線を向ける。


あわわ……わ、私、何で声出しちゃったんだろう……。


発してしまってから、焦る。


ど、どうしよう……何か言わないと変だよね。


……こうなったら……言うしかない。


「あの……杉山君も一緒に行こう?」

「え……」

「大勢で行った方が楽しいと思うし……ね?」


たったこれっぽっちを言うだけでなぜか胸がドキドキで……。

ただまっすぐ杉山君を見れなくて、あたしは杉山君の緩めたネクタイをじっと見つめていた。


「あー……そうだな……」


杉山君は少し困ったように笑いながら頭を掻く。


……やっぱダメ……かな。


「やっぱケーキはキツいよなー……」


……そうだよね。


何となく分かってはいたけど、どこか残念に思ってる自分がいて。

そんな自分の気持ちがよく分からなくて……。


……そんな時だった。


「行こうよ、海斗」


ぴょこぴょこ跳ねていた音ちゃんが杉山君に向かってそう言った。