音羽side


「……………………………」


一人残された屋上で、あたしは立ち尽くしていた。


綾乃……ちょっと泣いてた?


……あたしのせいで?


……あたしが……悪いの?


「っ……………………」


訳が分からない。


分からない……けど、ポロポロと涙が零れてくる。


誰もいなくなった屋上で……涙があたしの頬を濡らす。



『……綾乃、杉山のこと好きなんじゃないの?』



綾乃に避けられる理由が分からず、困っていたあたしにそう告げた亜沙美。


『何で?』

『何となく、見てて分かった。
確証はないけど』


綾乃は海斗があたしを好きだったってことを知っていた。

だから、もし本当に綾乃が海斗のことを好きなら……同時にあたしのことも意識してしまって困惑してるのかもしれない。


そう亜沙美に言われた。