海斗side

「は?音羽と沢木が?」


俺が思わず聞き返すと、小倉は小さく頷いた。


「何か変なの。
綾乃が音羽を避けてるっていうか……」

「沢木が……ね」


そういえばこの前廊下で見かけた時も変だった気がする。


……ケンカか?

あの二人が……?


「音羽に聞いても理由は分からないって言うし……」

「音羽が沢木に何かした………わけないか」


アイツ、沢木のこと大好きだから……沢木が嫌なことは絶対しないはず。


だとしたら……じゃあ原因は?


「沢木は何て言ってんの?」

「あぁ……なんか"音ちゃんは悪くない"としか言わなくて。
何度聞いてもそれしか言わないの」


何だそりゃ……。


音羽が悪くないなら、何で音羽を避けるんだ?


まぁー……いっか。


俺はガタッと音をたててイスから立ち上がった。


「どこ行くの?」

「アイツらのクラス」


ここで考えてるよりも本人達に聞いた方が手っ取り早い。

俺は小倉の声を背中で聞きながら教室を出た。