「……何で音羽のヤツ、そんな話……」
「海斗の友達に何か頼まれたらしいよ。
海斗が最近変だからって」
友達……。
……陽太か。
それ以外には思いつかない。
「……で、音羽からそれを聞いて先輩がわざわざここに来たってことっすか。
……先輩もお人好しっすね」
「お人好し？」
「じゃなかったら、わざわざ自分の彼女のことを好きだった男のところになんか来ないでしょ」
そんなつもりはないのに……少しトゲのある言い方になってしまう。
慌てて何か和ませるようなことを言おうとするも、上手い言葉が出てこない。
「あ……いや、その……」
「確かに、そうかもな」
先輩はフッと口元を緩める。
「でも……海斗は何か気になってしょうがないんだよ」
「は……？」
「何でだろうな。
俺もよく分かんないけど。
けど、多分海斗がイイ奴だからだろうな」
イイ奴……。
