「……何考えてんだよ」
……そんなこと、できない。
俺はケータイを待ち受け画面に戻し……それをただボーッと見つめたまま小さくため息をつく。
“今まで通りでいたい”
そうアイツに言ったのは俺なのに……。
今まで通りに接してたらきっといつまでも俺は――
そこまで考えかけて……俺は勢いよく頭をブンブン振った。
……やめろ。
もうそんなことを考えるのは……。
だけど……自分の気持ちが分からない。
アイツの方に傾いていた気持ちが……少しずつ沢木の方に寄っていっている気もする。
それに気付かないほど俺は鈍感ではない。
でも……それじゃあ、俺が沢木を利用してアイツを忘れようとしてるみたいで……。
決してそんなことはない。
頭ではそう思っているけれど……一体、俺の本当の気持ちは……。
それは……自分でも分からない。
ただ……アイツを見てるとたまに胸が苦しくなるのも……
沢木と話していてたまに胸の鼓動が速くなるのも……
どっちも……事実。

