……何やってんだよ、俺。
……カッコ悪。
沢木は俺のこと心配してくれてたっていうのに……。
本当、最悪だ。
自分で自分がこれほどまでに嫌になったことはない。
……もう帰りたい。
マジで帰りたい。
家に帰ってベッドにダイブして……そんで寝て、全部嫌なこと忘れたい。
だけど部活をサボるわけにもいかない。
いったいどうしたら……。
どうしたらいいんだよ……。
「……………………」
……俺はおもむろにカバンの中からケータイを取り出す。
電話帳を開き、ある名前のところで指を止める。
……その名前を見つめながら思う。
コイツだったら……コイツに全部話してしまったら……きっと楽になれるんじゃないか。
全部知ってるコイツだったら……何も言わずにただ俺の話を聞いて……最後にとびっきり明るい声で「大丈夫!」と一言だけ言ってくれるんじゃないか。
……俺は“ヤ行”の一番初めにある名前を見つめながら……少し胸が苦しくなるのを感じた。

