恋愛、友情。ときどき涙。2


沢木も窓の方に視線をやり、外の景色を見て俺に話しかける。


「もう始まってるんじゃ……?」


確かに、今ここから見えるグラウンドではサッカー部が活動し始めている。

本来なら走ってでもすぐに行かなきゃいけないだろう。


「……そうだな。
急がなきゃな」

「杉山君……?」


さすがに沢木もおかしいと思ったのか、心配そうに俺を見つめる。

その視線に気がついた俺はハッとして慌てて作り笑いを浮かべる。


「杉山君……大丈夫?」

「え………?」

「あ、ご、ごめんなさい……。
でも……何かいつもの杉山君じゃない気が……」


……気づかれたくなかった。

でも……そうだよな。

こんなの……俺らしくないよな。


「……そうか?
あー……ちょっと風邪気味だからな。
そのせいじゃないか?」

「え……風邪?」

「ごめん、そろそろ本当に行かなきゃ」

「あ……うん」

「また明日な」


……沢木にそう言うと、俺はまるで逃げるように足早に廊下を歩いていった。