恋愛、友情。ときどき涙。2



「沢木……」


沢木がカバンを肩に掛けたまま立っていた。


慌ててさっきまでの暗い表情を消そうと無理矢理笑みを浮かべる。


「お前も掃除当番?」


部活のやっていない沢木がこの時間まで残ってるってことはそういうことだろう。

俺が聞くと、沢木は小さく頷いた。


「杉山君はこれから部活?」

「あぁ、そうだよ」


なるべく平静を装ってそう答える。

沢木は特に気にした様子もなく「そっか」と言った。


「頑張ってね」


沢木が優しく微笑みながらそう言ってくれた。


「……サンキュ」


だけど、俺の笑顔は自分でも分かるぐらいにやっぱりどこかぎこちなくて。


……こんな自分を見られたくなくて。


俺は静かに沢木から視線をそらし……また窓の方へと戻す。