……掃除を終えて、俺はカバンを持って教室を出た。
あー……かったるい。
ちょっと前まではグラウンドまで走って行ってた気もするけど、今はそんな気にもなれない。
こんな自分に嫌気が差すし、何とかしたいとは思っている。
だけど、幼い頃に受けたショックは思っていたより大きかったみたいだ。
今なら大したことない、で済むのかもしれない。
でも、あの頃は本当にショックで仕方なかった。
……それを今になっても引きずってるなんて。
「……俺も案外弱っちいな」
そんなことを呟きながら廊下の窓の外に視線をやる。
……早く行かなきゃな。
分かってる。
分かってるけど……足が重くて……思うように動かない。
「……杉山君?」
その時、ふと柔らかな俺を呼ぶ声が聞こえた。
誰の声かすぐに分かって、俺は振り返った。

