もう九年ぐらい前の話だ。
あの時は俺も周りも子供だったし、だからこそ起こってしまったことなのかも知れない。
だけど、俺はもうあんなのこりごりだ。
あの時ほど人間が薄情な生き物だと感じたことはない。
ま……でも、あのぐらいの年ならそんなもんか。
「海斗ー、お前今日掃除当番だよな?」
「あぁ」
「んじゃ、先に部活行ってるわ」
陽太がカバンを肩にかける。
「……あの、さ……陽太」
「ん?」
誰かにこの話をしたら、今の不安が拭えるだろうか――
「どうした?」
だけど……
「……いや。
俺もすぐ行くから」
「……?
……あぁ、分かった」
陽太は納得してなさそうな顔をしてたけど特に突っ込みはせずに教室を出ていった。
……別に陽太や部員を信頼してないわけじゃない。
だけど……。

