海斗side


「……山。………杉山!!」


突然大声が聞こえ、俺の体がビクッと反応した。


「……何だよ、小倉」


俺がそう言うと、小倉は呆れたような顔をして俺を見た。


「アンタ、いつまでそうしてるつもり?」

「は?」

「アンタがいつまでもそうやってウジウジしてると、神田がウザくて仕方ないのよ。
だから早いとこ腹決めて立ち向かっていきなさいよ」


小倉は心底面倒くさそうにそう言った。

……よっぽど陽太がウザかったんだろう。


「……別にウジウジなんてしてねぇよ」

「してるでしょ。
自分の顔、鏡でよく見てみたら?」


呆れたようにそう言う小倉。


……分かってるよ。

こんなバカみたいなこと、いつまでも悩んでたって仕方ないって。


決まってしまったものはもう仕方ない。


でも、部長としてグラウンドに立っているとき……決まって思いだすのは、あのこと――