恋愛、友情。ときどき涙。2


「空とやってるのか?」

「くーちゃん?
違いますよ」

「え……じゃあ誰と?」


空でないとしたら……まさかの沢木?

……いや、それはないだろ。


「誰とっていうか……頼まれてるんです」

「頼まれてる?」

「はい。
……あ、そうだ!
先輩、ちょっと付き合ってくれませんか?」

「あぁ……いいけど……。
何かあったのか?」


俺がそう聞いても、音羽はにっこり笑ったまま詳しいことは何も話してくれない。


「昼休み、いつもの場所で待ってますね!」


いつもの場所……。

それは音羽と俺が時々一緒に昼飯を食べる空き教室。

他の生徒も来ないし、静かだし……二人きりになれるちょうどいい場所だ。


「音羽、あの……」

「あ、もうチャイム鳴る!
じゃあ先輩、また昼休みに!」


音羽はそう言って可愛らしく手を振ると、教室へと走っていってしまった。



元気だな、本当に。


俺はそんな音羽の後姿を見ながら小さく笑った。