「空とやってるのか?」
「くーちゃん?
違いますよ」
「え……じゃあ誰と?」
空でないとしたら……まさかの沢木?
……いや、それはないだろ。
「誰とっていうか……頼まれてるんです」
「頼まれてる?」
「はい。
……あ、そうだ!
先輩、ちょっと付き合ってくれませんか?」
「あぁ……いいけど……。
何かあったのか?」
俺がそう聞いても、音羽はにっこり笑ったまま詳しいことは何も話してくれない。
「昼休み、いつもの場所で待ってますね!」
いつもの場所……。
それは音羽と俺が時々一緒に昼飯を食べる空き教室。
他の生徒も来ないし、静かだし……二人きりになれるちょうどいい場所だ。
「音羽、あの……」
「あ、もうチャイム鳴る!
じゃあ先輩、また昼休みに!」
音羽はそう言って可愛らしく手を振ると、教室へと走っていってしまった。
元気だな、本当に。
俺はそんな音羽の後姿を見ながら小さく笑った。

