……俺は陽太の指をどけると、それが何だと言わんばかりの顔を陽太に向ける。
すると、陽太は小さくため息をつきながら口を開いた。
「海斗ってさ、部活中にそんな怖い顔するヤツだったっけ?」
「怖い顔なんて……」
「してるよ。
ちょっと前まではバカみたいにはしゃぎながらサッカーしてたのにさ」
……夏休み前までの自分を思い起こす。
……確かに陽太や他の部員に混じっていろんなことしてたな。
でも……
「いつまでもそんなわけにはいかねぇだろ。
……それに」
俺はグラウンドに向かって歩き出す。
そして少し歩いたところで立ち止まり……振り返って軽く陽太を睨んだ。
「……こんな俺を部長に選んだのはお前らだろ」
……そう言い捨てて、俺は陽太に背を向けてまた歩き始めた。
「海斗……」
そんな俺を……陽太は複雑そうに見つめていた。

