海斗side


あーあ……。

……かったるい。


俺はグラウンドを見ながら小さくため息をつく。


「かーいと!」


突然、後ろから肩を叩かれる。

振り返ると、よく見知った顔があった。


「……なんだ、陽太か」

「なんだって……。
あのなぁ、お前のこと心配してわざわざ声かけてやったってのに」

「そりゃどうも。
でも心配されるようなことなんて何も……」


俺がそう言いかけると、陽太はズイッと俺に顔を近づけてきた。


「なっ……何だよ。
キモいから離れろって……」

「海斗……」


突然、陽太は俺に向かって人差し指をゆっくり伸ばしてきて……


「ちょっ……陽っ……!」


俺は思わずギュッと目を瞑る。

すると、ピトッとおでこに何か触れた気がした。


「……え?」


恐る恐る目を開けると、陽太は真剣な顔で俺を見ていた。

そして、その人差し指は俺の眉間に触れていて……


「ここ、シワ寄ってる」


陽太は一切笑みを見せずにそう言った。