「だから行かねぇって」

「綾乃もこう言ってくれてるしさー。
それにほら、くーちゃんも行くよ!
あとね、陽太君も誘う予定なんだ!」

「陽太も?」

「うん!
ほら、どんどん行きたくなってきたでしょー」

「……いや、なってねぇし」

「何で!」


うー……と唸りながら杉山君をじっと見つめる音ちゃん。

まるで飼い主に反抗してる子犬みたい。


そんな音ちゃんを見て、杉山君は小さくため息をつく。

そして……


「……分かったよ。
行けばいいんだろ、行けば」


え……?


……その答えに私は驚きを隠せなかった。


「お前、一度言い出したらしつこいしな」

「しつこいは余計だよ!」


ぷくっと頬を膨らませる音ちゃんは本当に可愛らしくて……。

……杉山君はそんな音ちゃんを見て小さく笑った。


……なぜかチクリと胸が痛む。


三上君や私が誘っても頷かなかったのに、音ちゃんは……。


……すぐにこんなこと考えてしまう私がおかしいのかな。


杉山君は音ちゃんのことを理解してるから、本当にただこれ以上断っても無駄だから返事をしたのかもしれない。


だけど……私にはどうしてもそうは思うことができなかった。