「誰だって苦しい思いしとるのは皆同じなん思うたら助けとうなるもんやで せめてこいつだけは、って」 お前なら分かるやろ。 真剣な目した、マスターに、そう聞かれた。 うん。あたしには分かるよ。 昔、選択をしたあたしになら、分かるよ。 ……せめてこいつらだけは助けたい。 苦しむのはあたし一人でいい。 って。 ……バカみたいに真っ直ぐな気持ちを持てた自分を、はじめて誇りに思った。 あの選択だけは、間違っていなかったと信じたい。 って…… 「バカだね。」 無意識にそう、呟いていた。