飛龍はもともと30年前、翔馬という名前で成立した族だった。
翔馬は1年で全国1位になり、何代代わっても2位以下に落ちることがなかった。
すさまじい勢いで勢力を広げるそれに対抗できるものは、そうそういなかった。
それに、幹部以上が全員美形だったため、関東で翔馬を知らないものはまずいなかった。
それが、10年前……。
「10年前、……18代目の時だ。」
関東では、いまの吹雪よりもっとタチが悪い、≪來土≫(らいと)という、族でもなければただの不良でもない、
お金をつかって罪をもみけしたりする法律違反の固まり、
闇の組織がたびたび翔馬の暴走ルートで暴れるようになっていた。
翔馬はそれに頭を悩ませたが、來土だけはどうしようもできない。
それに、そんな時、
「当時の全国2位が、翔馬に喧嘩を売った。
火具矢(かぐや)、という族だ。」
翔馬は全国2位を倒すべく、総力で喧嘩に挑んだ。
