机の上にあったのは、紫色の封筒だった。 誰からのものだ? と考えているうちに、後ろからよく聞く声に話しかけられる。

「あら、沢田先生。 その手紙、あなたのクラスの…、ああ。 神崎さん。神崎繭璃さんが、あなたに渡してくださいと」
彼女は朱野悦子教諭。 歳は30代らしいが、見た目は若々しい。

…それよりも。
神崎が、俺に手紙、なあ。

「想像つかねえんだけど」
授業にでも文句があったのだろうか。 いや、彼女の性格ならばそんな事はないはずだ。 直接言うだろう。
ならば、何だろう?

考え込みながら、俺は手紙を開いた。
いつものように、コーヒーを啜って。