「…家が、どこかわかりません。 ただそれだけ、です。 …神崎、繭璃といいます」
「神崎、カンザキさん! ああ、近くに引っ越してきた人の名前がそんなだったような…」

「ちょっと待ってな」

そういうと、先生はカバンからメモとペンを取り出して、今と変わらない、綺麗な字と絵で地図を書いてくれた。

「…ありがとうございました」

その地図を見ながら帰ると、すぐに家につけた。
もう会わないのかな、と思っていたけど、その後も何度か会うことはあった。
家が近いらしい。

先生と、あの翌年から会えなくなったけど。
翌年、先生は無事試験に合格し、私の今通っている学校に就くことができたらしい。