私が今17歳で高2だから、5年前のことになる。
5年前、私ははじめて沢田先生に会った。

その時、先生は21歳だったかな。
私がここに引っ越してきたばかりの頃。
道に迷っていた私を助けてくれた。
一人で冒険なんてして、家に帰れなくなっていた私に、声をかけてくれたんだ。

「家、どこ? そもそもここはどこ?」
「どうしたの? 迷子?」

その時は、もう大人みたいに扱ってほしくて、大きな態度をとってしまったけれど。

「迷子なんて歳じゃありません…! あなた、誰ですか!」
「俺? 俺はここら辺に住んでるただの先生になりたい人、かな。沢田、巴っていうんだ」
「先生じゃないんじゃないですか。 沢田さん」
「まあ、そうなんだけど…。で、やっぱり迷子なの?」