「はあ…。 呼び出したはいいけれど…何から話せばいいのかしら?」
好きです。
愛ってなんですか。
先生はお付き合いしている方は。
わたしのこと、どう思ってますか。
「どれもヘン…。ひかれるだけだろうなあ」
「何がだ?」
独り言を呟いていると、後ろから大好きな声が聞こえてくる。
「先生…!」
「独り言ばっかり言ってるから驚いたよ」
そう笑われて、顔が熱くなった。
見られるなんて…。
「先生、ひどいです。 生徒を笑いものにするだなんて」
「ごめん。 俺、生徒のいろんな顔見るの、好きなんだわ」
そう言って先生は笑った。
その笑顔一つで大抵のことは許してしまう。
「で、どうした。 いきなり手紙なんてな。 センセー、驚いたぞ」
「あの手紙みたら、少しくらい分かってください…。 …先生。わたし」
「神崎、ストップ」
「止めないでください。 先生に、聞いて欲しいんです」

「マユリ?ストップだ」
「ーー!」
先生、と言いかけたけど、その言葉は喉のあたりで止められた。
突然、先生の携帯が鳴ったから。
「…はい、もしもし。僕です。 ええ、そうですか。 すぐ行きます」
電話を切ると、
「悪いな、神崎。その話は後でもいいか? …周りには教えんなよ?」
といい、先生から小さなメモを渡される。
「じゃあな、神崎」
メモを開くと、先生の綺麗な字でメールアドレスが書かれてあった。