幻影 彼方からの誘惑

「最近学校は、どうだい?」

新聞の経済面を見下ろしつつ、眉をしかめた父が問う。頭と体は、分離しているみたいだ。

「あんまり。かわりないかな。」

アヤも気にした様子もなく答えて、パンを口に放り込む。

「不自由はないかい?」

学園生活に付け足すようなセリフに、アヤは、問題ないと手を降る。

「テストはヨウが、体育は、ゲンが変わってくれるし。授業は、ヨウとそうだんしながら、うけてる。普段の時間は、私でいられるし。うん、今までと変わりないわ」

「確かに、ヨウは、賢いし。ゲンは君のナイトだからね。ただ15歳になるから、きにかかるのだよ」

そして、サラダを用意し終えた母が席に着いて、話に参加してきた。

「お祖母様もなくなりましたし。もう頼る方もいませんしね」

何度かトラブルが起きたことがある。だけど、すべては祖母が片付けてくれた。祖母には、いつも秘策があったのだ。

しかし、祖母も亡き今はと、母も父も憂いていた。

「多分なんとかなるよ」

アヤは、全く気にした様子もなく残りのパンを喉の奥に押し込む。

「問題もそのうちに解決するような気がするし」

何と無く明るい兆しがあると、アヤは言う。その声に、母め少し笑顔が漏れた。