僕は、ヨウ。

月見山 幻のヨウ。


母は、賢い人です。

アヤとゲンと私を見分けて、三人分の名前を幻の漢字に託してくれました。

母の愛に感謝です。

そして、僕には、二人の理解者であり、繋ぎになることを命じたのです。


感受性が強いアヤに、荒々しいゲン、僕には無いものを持つ二人ですが、あまりに脆い部分があるから、母は、案じています。だから、僕に繋ぎをと。


僕には、アヤみたいな繊細さもなく、ゲンのような運動神経もない。

ただ二人より知力に勝ります。


沢山本を読みましたし、考えることが好きです。哲学という学問には、興味がつきませんし、できれば一日中本を見ていたいです。

学校の成績なんかも、僕がいるから、あまり無理せず中間をたもっていられます。適当に適度に誤りを書くのは、時には正解するよりも難しいですが。ま、今のところは大丈夫みたいですね。


僕は、ゲンみたいに体を移りたいと願望することもありませんが、アヤの生涯を思えば、長居もよくないと思います。


アヤは、女性で、この身体の持ち主。
いずれ恋をしたり、結婚したりする際には、僕やゲンの人格は必ず邪魔になります。だから、いずれは出る必要があると思います。


さて、始めましょうか。

朝を。

そして、明日への始まりを。