この体は、女性だ。

髪は、長くて腰まであるし。

切れ長の瞳も雪みたいに白い肌も、全部私のもの。

私は、アヤ。

月見山 アヤだ。
幻と書きアヤと読む。


母がくれた名前。

アヤは、女の子だからと、母は、レースの洋服や、おもちゃを沢山くれた。

産む前から、母には、アヤと二人の区別がついたらしい。

アヤは、自分らしく胸をはれと父も認めてくれた。

最近だけどね。


やっぱり、祖母がいたから、母も父も許してくれたんだと思う。奇妙な私たち兄弟のことを。

よくわからないけど、彼等にに言わせれば、月見山の身体は、元は私の身体らしい。其処に、二人の魂が入り込んだと。だから、私たちは、分裂した人格でなく、最初からいた三人らしい。


祖母は、巫女の血筋だし。父には、力はないけど。母は、やはり神道系の血筋であるみたいで、私は、巫女素質が強いらしい。よく、わからないけど。

巫女素質の意味なんて、私は、知らない。知らなくていいと思うし、面倒は、嫌だし。平和に暮らしたい。

でも後の二人は、違う。

だから、私もいずれかの時には、動かないといけないと自覚してる。

きちんと自覚は、してるんだ。

ただ、今でないとも知ってる。

だから、朝を始めよう。

時が、始まるように。