最初から、三人だった。

アヤとゲンとヨウ。

戸籍には、月見山 幻とある。

母親は、三人だと最初から自然に受け止め、父親は、諦めながら認めた。

古く辿れば、月見山の血筋は、神社に行き当たる。昨年亡くなったた祖母も昔は、巫女を務めたこともある。

父親には、何の資格も遺伝しないが、血筋の女子に何か受け継がれると祖母が語っていた。そして、嫁には、少なからず神道の血筋を求めていた。だから、月見山 幻も特別であった。


今年、15歳を迎えて高校に進学した。
長い髪を腰まで伸ばして、切れ長の瞳には憂が見えた。雪のような白肌。しなやかな身体に、細い手足。洋服よりは、和服が似合う細い首筋に撫で肩が、儚さや少女の色気を感じさせた。


しかし、中身はまるで違う。

焦りと悩みと違和感に、襲われていた。
三人でいることへの限界とほころびが見え始めていた。


朝は、毎日訪れる。
誰が泣こうが、笑おうが容赦ない。
だから、嫌いだと言う人もいれば、だから、癒されると言う人もいる。何でも受け止め方次第だと、幻は、溜息をもらした。

長く伸ばした髪が、少しだけ風に揺れて、その朝も体に目覚めがきた。

いつものように、背伸びして。髪は軽く結びあげる。漆黒の長髪は、幻の自慢だ。

春から、通い始めた学校は、私立で金持ち学校。成績より優先させたのは、自由な校風だと父母が言った。すべては、特別な自分への気遣いだと幻は知る。
いずれは、隠しきれないとしても、自ら晒す必要はないと、母親にいつも言われていた。

まずは、アヤに話を聞こう。