〈先輩の気持ち〉


痛い…

こんなにも頭が痛いのは初めてだ。


「母さん…頭が…」


それから俺はどうなったのかわからない。

気付いたときにはベッドに寝ていた。

何が起きたんだ?

母さん達はどこにいる?

美希もいるのか?




状況が把握できないまま病院内を散歩していると、


「わかりました…」


美希の悲しそうな声が聞こえた。




母さんが泣いている…

美希も…

後ろ姿だけど、泣いている…

または泣かないように耐えているようにも見えた。




俺が話かけると美希は涙を隠したね。


その行動が俺にとって悲しかった。




もっと俺を頼ってよ…


心の中で俺は言った。





きっと俺の話だったんだ。
あのときの話は美希は一言も言わなかった。