ヘタレ彼氏。

「はぁ……つっかれたー」

「主にお前のせいだけどな」

ぶつくさと文句を言う私に向かって律儀に返事を返してくれるしんたろー。
しんたろーは無表情のまま学校の宿題をしている。
私はというと途中で挫折し、しんたろーの部屋のベットでゴロゴロしている。
優劣の差を絵に描いたような格好をしている私にしんたろーが声をかけた。

「実践でもするか？」

「する！」

私は二つ返事をして、今までにない腹筋力で起き上がった。
しんたろーはというと少しため息をついて椅子から立ち上がった。

「じゃあ中庭で＿『黒魔法の防御魔法』か、『白魔法の守護霊召喚』だな」

私はうん、と返事をして杖の召喚をした。

「じゃあ行くぞ」

しんたろーはかなり大掛かりな魔方陣を召喚し、杖を取り出した。
大掛かり、といっても本人も魔法力によって個人個人に違うのだが。
そういう意味ではしんたろーはかなりすごい存在だとわかる。


＿そして中庭＿

「いいか、お前の守護霊を想像するんだ」

「はーい」

杖を大地に固定し、心を落ち着かせる。
何度か深呼吸した後、言葉に魔力を練り込んだ。

(……よし！)

「『我に纏いし精霊の力よ、今ここに具現化せん。』」


呪文について＿

　呪文とは、空っぽの器のようなものだ。
その空っぽの器に魔力を注ぐことによって、「魔法」が発動する。
個人によって呪文が変わることもあるし、また、魔法陣（魔法が発動する時に変な所に行かない様に固定するもの）が出ることもある。
しかし、呪文についてはまだ完全に謎が解けていないのが現実である。
(「魔についての解釈」p.175より)