私は神咲 綾乃。

周りに比べたら地味で何も取り柄のない女の子。

今日から憧れの高校生活……って、んなわけあるかっっ!
私はそんなもの抱いてなどいなかった。

『あぁー。今日から学校かぁー。行きたくないー。』

「もーなに言ってんのよ!まだ始まったばっかりじゃない!」

『そうだけど……。』
「ほらっ!もう時間よー!行ってらっしゃい!!」

『はぁーい。行ってきまぁす!』

私の通う星稜高校は、地区でNo.1の成績を誇る進学校だ。
まぁ、こんな私でも勉強だけは出来たってわけ。
この学校なら目立たずに3年間過ごしていけるはず。そう思っていた。
あいつに出逢うまでは…。


「はーい。席に着いてー。今日からお前らの担任の、神楽真也だ。よろしくなー。早速出欠とるぞー。」

「…?白戸雅貴はどうした?」

ガラガラ。

「おい。白戸。遅刻だぞ。」
「ぁ?んだよ。」
「なんだ、その口のききかたは。」
「あーうぜぇー。」
「まぁいい、早く席に着け。」

…え!?嘘でしょー!?この人が私の隣ー!?金髪にピアス、腰パン、なにこの制服の気崩し方…。どっからどう見てもヤンキーじゃん。星稜高校にヤンキーがいるなんて…。

「んだよ。なに見てんだよ。」
『え?あっ。ご、ご…めんなさい。』

なに!?初対面に対するこの態度!入学そうそうこんな思いするなんて…私これからやっていけるかなー。はぁ。。。
もー帰りたいよー。



キーンコーンカーンコーン。
チャイムと同時にダッシュ!
『はぁー。やっと帰れるー。』

…………………………。ドカッ!!!

「痛てぇー。」
『痛っ。』

目を開けたその先には……し、白戸雅貴!?!?

「てめぇ、なにしてくれてんだよ。」

『ご、ごめんなさい……。わざとじゃないんです!』

「あたりめーだ!わざとだったらぶっ殺してるとこだ!」

ひえぇぇー。こ、怖ーーーっっ。

『ごめんなさい!!』

「あぁ。」

……ぇっ。許してくれた感じ!?意外にすんなり……。

「んだよ?」

『……。白戸雅貴くん…だよね?』

「そーだけど…てめぇなんで俺の名前知ってんだよ!?」

『うちさ……クラス一緒で隣の席なんだけど、朝覚えてない?』

……てか、なんでうちこんなこと聞いてんだろ!?
ヤンキーにこんなこと言ったって迷惑がられるだけじゃん…。

「……ぁ。……………よろしくな。」

『え!?』

「なんだよ!」

『ううん。よろしく!』

「おう。」

よ、よろしく!?そんな言葉が白戸雅貴から出てくると思ってなかった。
なんか……嬉しいな。

この時からすでに、ヤンキー(白戸雅貴)に対する私の気持ちは変化していたのかもしれない。

ロマンスとかなんもないけど、これが私とあいつの出逢いだった。