真美の表情がこわ張る。
『覚えてくれてたの? 苛めた人の事なんて忘れてるのかと思ってたけれど、意外』
 くすくす笑いながら言った。
「この子達に連れて来られたわ。けど、また再会したわね。あの時はどうにかしていたのよ。だからって、今更、謝る気はないわ」
 真美はこわばった表情のままそう言った。
『もう一人いたわね。でも、そんな事、どうでも良いわ。散々酷い目に合わせておいて、未だに反省もしていないのね』
 祐美は、そう言うと、念力で手洗い場の蛇口を捻り、赤黒い水を出すと、それを真美めがけてかける。
 真美は、息苦しくなったのか、ゴホゴホとむせる。
『どう? 苦しいでしょう?』
「苦しいわ…」
 むせながらも、真美は答えた。
『ね、水をかけられただけでも苦しいんだから。大量の水の中に顔を突っ込まれたら、もっと苦しいわよ!』
 祐美は、真美の顔を便器の中に突っ込ませた。
 今までさび付いて流れるはずのない便器の水が流れだした。
「どうなってるの?」
 私は目の前で起きている現象が、わからなくて御手洗に聞く。
「これは僕の推測だけど、祐美さんの念力だと思う。霊になると、不思議な力を使えるようになるんじゃないかな」
 御手洗は、そう答えた。
『同じ事されてわかるでしょ?』
 ゴホゴホとむせる真美に聞いた。
「そうね、されてみてわかったわ。今野さん、本当にごめんなさい…」
 涙を零しながら真美は謝る。