「母校に行くの久しぶりよ。貴方たち、第一中に行った事あるの?」
 ルームミラー越しに真美は聞いてきた。
「噂を確かめに……」
「そうなの。噂は噂。でも、折角だから、付き合うわ」
 ちらりと私達を見ると、前を向いて、車を走らせる。
 気のせいじゃなければいいけど、真美はどこか緊張した表情をしているように見えた。
 暫く走ると廃校に着いた。
「ここ数年で、随分と変わったわ」
 車から降りると、真美は、辺りを見渡した。
「さて、どこへ連れて行ってくれるの?」
「四階の女子トイレですよ。不思議な事が起きるんです」
 御手洗が答えた。
 私達は、校内へと入って目的地を目指す。
「ここがその噂のある場所なんですよ」
「何だか不気味ね。苦手だわ……」
 上半身だけ身を乗り出して見渡した。
 それも無理もない。
 何回か来ている私達でさえ、足がすくむ。
「ここまで来たからには、中に入りましょう」
 私達が先に中に入ると、真美も渋々中に入ってきた。
―待ってたわ。
 これはいつものパターンだ。
 すぐに彩花に憑いて話し続ける。
『懐かしい人も一緒に来たようね……。ね、篠原さん?』
 そう言うと、三つ編みのセーラー服を着た、ずぶ濡れの少女へと姿を変えた。
「貴女は、今野さんなの?」