彩花はそう言って首を横に振った。
「だったら、クラブ活動しよう」
 ニコリと笑顔を向ける。
 彩花はしぶしぶ頷く。
(しんどいよね……。何日も体を乗っ取られては、自分に戻って…って繰り返してるんだもの。彩花のためにも、一日でも早くこの問題を解決させたい)
「彩花、ごめんね? なんだか、大変な事に巻き込んでしまったみたい」
「いいよ、今更だし。もう少しの辛抱なんでしょ?」
 彩花は小さく笑った。


 始業ベルが鳴り、授業が始まった。
 先生が、一人の若い女性を連れてきた。
「皆に紹介します。今日から二週間、お世話になる篠原さんです」
「篠原真美です。今日から二週間、教育実習に来ました。宜しくお願いします」
 そう言って、お辞儀をした。
(もしかして、祐美さんの、元クラスメート? それとも他人?)
 私は、相手を疑視した。
 見る限りでは、とても苛めをするようには見えない。
(同姓同名なのかな)
 私は、この時間は、頭に授業が入らなかった。
 早く確認したい気持ちでいっぱいになった。
(貴女が、祐美さんとクラスメートでしたかって聞くの? まさか、ストレートすぎよね…)
 私は、もやもやした気持ちのまま、残りの授業も受けた。
 放課後、私は二人に相談する事にした。
「今日の教育実習に来た人って、祐美さんの元クラスメートだと思う?」
「僕もその線があると思う。しかし、確認のしようがないよね」