「う……ん」
 彩花が目を覚ました。
「気付いた?」
「私、どうしてたの?」
 憑かれていた時の記憶がないようだ。
「貧血起こしたのよ」
 私は咄嗟に嘘をついた。
 また祐美に憑かれていた……なんて言えば騒ぎになるのはわかってる。
「早いとこ帰ろう」
 私は彩花の手を繋いで、足早に家に向かう。
 今日も一緒に過ごす事にした。
 彩花が一人の時、祐美に憑かれても困る。
 彩花の家の人には、一緒に勉強するという事にして、家に泊める許しを得た。
 こう見えて、彩花の家の人には、信頼されてるんだよね。
 彩花も私が一緒の方が安心だろうしね。
―明日は昼間から、廃校に行こうと思うけど大丈夫?―
 御手洗からメールが来た。
「彩花は、昼間なら肝試しは大丈夫ね?」
「そうね、大丈夫だよ。また御手洗からメール来たの?」
 彩花の質問にドキリとしながら、
「そう。御手洗とメールしたい?」
―昼間からなら大丈夫だよ!―
 私は返事を返しながら答えた。
「うーん、どうかな。わかんない」
 素っ気無い返事がかえってきた。
「私がメールするのは気になるんでしょ?」
「まあ、そうだけど。つか、望美を取られそうで、なんか嫌だな」
 思ってもいない言葉が、彩花から出て驚いた。